奥山薫社会保険労務士事務所 (千葉県:士業:社会保険労務士)就業規則

給与制度

奥山薫社会保険労務士事務所

右肩下がりの景気に右肩上がりの最低賃金

人件費は労働者への先行投資、だから、高利回り回収するには。


昨年、全国47都道府県庁所在地に「最低賃金総合相談支援センター」と120箇所の「最低賃金相談支援コーナー」が発足しました。

 

また、それとタイアップして「賃金改善助成金(地域最低賃金額が700円以下の道県に事業場を置く中小事業主が対象)」なる支援策も創設されました。

 

2010年6月、政労使の代表による「雇用戦略対話」で最低賃金引上げに関する合意が行われ、2020年までの出来る限り早期に全国最低800円を確保、全国平均1000円を目指すこと(新成長戦略で掲げている「2020年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長」が前提)とし、これにより大きな影響を受ける中小事業主を対象として経済産業省と厚生労働省がスタートさせた支援策です。

 

将来に明るい見通しとなる材料が見えない右肩下がりの時代に、今後に向けて底上げが予想される最低賃金額。

 

企業にとって重くのしかかる人件費対策は、事業主にとっての悩みの種です。

 

人件費の削減案として社会保険料の観点から提言されるのは、特別なスキルを要しない業務であるならアルバイトにする、もしくは正社員のおおむね3/4以下の労働日数もしくは労働時間のパート労働者への転換(もちろん、労働条件の一方的な不利益変更は紛争の原因になりますので要注意)、あるいは各種手当を整理するなど給与体系の見直し等。

 

しかし、人件費削減とばかりに残業カット、賞与カット、正社員の削減・人員縮小など削減尽くしでは従業員の体力消耗からモチベーションの低下につながることは必至です。

 

となると、現状の従業員の皆さんに通常の能力をパワーアップし倍に発揮して頂くなどして、効率よく生産性を上げるしかありません。

 

それには人材の確保や育成もさることながら、まず、「会社というのは業績が上がらないことには給料も上がらない」ことを心から理解してもらうことが必要です。

 

当たり前のことですが、従業員の中には売上が同じでも、もしくは多少下がったとしても給料に影響がないことを見越して呑気にかまえ、当然のように定期昇給を期待する向きもあります。

 

次に、業務効率の視覚化を図ります。

例えば、残業の多い従業員がいる場合、それが業務量の問題なのか個人の資質や能力が原因となっているのか、実際にその業務に携わっていないと傍からはなかなか判別できません。

 

そこで、ひとつの業務に複数を担当者として配置し、定期に持ち回りにするのも一つの方法です。

定期とは、軽作業であれば月毎に持ち場をローテーションすることも可能ですし、また、事務であればパート2名で1業務を出勤日で分担したり、あるいは1年毎にローテーションするなど、1業務に1担当者として固定化することをあえて避けるのです。

 

ひとつの業務に複数の従業員が担当することにより、それまで担当者が漫然と執り行っていた業務に競争意識が芽生え、あるいは特定の業務に対して従業員同志が積極的によりよい提案を出し合う機会をもつことにより、一層の効率化が図られるわけです。

 

もちろん、複数の従業員が複数の業務を覚えるとなると相応の教育期間なり準備期間がかかりますが、繰り返し業務を見直す機会にもなります。

 

また、複数が業務をこなせる仕組の確立によって、従業員の急な休みや産休・育児介護休暇などにも慌てずに対応し、引き継ぎができるという大きなメリットもあります。

 

業務の効率化によって残業が減り業績が上がるという経営の実態が視覚化され、従業員にも、実感ときに体感できるような仕組を作ることにより業務への愛着とモチベーションの維持を図ります。

 

確かに目先の賃金上昇は労働者にとって働く意欲の一端になり、生産性の向上と転職の抑止にもなりますが、先行投資して一人前に育て上げ、やっと「これから」というときに転職された、とか、賃金を5円下げたところ応募者の質が目に見えて落ちた、という話も聞きます。

 

千葉県の最低賃金額はといえば、平成19年度の706円から平成20年度に17円の引上げにより723円となり、その後、平成21年度に5円引上げ(728円)、平成22年度には16円の引上げ(744円)、平成23年度の4円引上げで現在748円。

 

ちなみに平成23年度の他府県における最低賃金は、東京都837円(16円引上げ)、神奈川県836円(18円引上げ)、埼玉県759円(9円引上げ)です。

 

今後着実に上がっていくと予想される最低賃金を見据えて、先行投資した人件費の高利回り回収(?)のためにも、人材育成、作業の効率化、給与制度、残業の管理など労務管理全般を見直す良いチャンスです。

 

人材の確保に気は抜けません。



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