税理士法人早川・平会計

タックスニュース No0157
税と社会保障の一体改革に伴う消費増税で、税率引き上げ分を適正に価格反映できるか焦点となった。社会保険診療が非課税の医療機関には、仕入れにかかる増税分を診療報酬に上乗せすることが決まった。一方、一般の商取引では立場の弱い中小企業が価格転嫁できないケースが続出しそうだが、十分な対応策をとるのが難しいのが現状だ。
医療機関や福祉施設は、薬や医療機器などの仕入れには消費税がかかる一方、社会保険診療や介護保険が非課税のため、患者・利用者から消費税を受けられない。日本医師会は、国に納める消費税が本来より多い「損税」が発生しているとして、仕入れにかかる消費税を控除できる「ゼロ税率」の導入を求めた。ただ、政府は、物品ごとに税率を変える「複数税率」を導入すると、選別に恣意性が加わりかねないことから認めず、消費税の導入時などと同様に、従来通り診療報酬の上乗せで対応することとし、素案にもこの方針を明記した。
一方、中小企業は消費税の販売価格への転嫁がさらに難しいのが実態だ。日本商工会議所などが行った調査によると、売上高1千万〜1500万円以下の事業者の64%が「転嫁できなかった」と回答。売上高の小さい中小企業ほど販売価格への転嫁ができていないことも分かっている。また、今後税率が引き上げられた場合、「転嫁できないと思う」と答えた事業者は71%に上った。価格上昇による販売減が不可避で、納入先による「買いたたき」が原因と見られる。業界によっては、大手が価格転嫁をわざと見合わせて体力勝負を仕掛け、中小の淘汰を狙うケースもうわさされる。素案では、適正な価格転嫁を推進するため、公正取引委員会や中小企業庁ら関係省庁による対策本部を設置する方針も盛り込まれたが、「民間の商取引には踏み込みづらい」(財務省幹部)のが本音で、実効性は未知数だ。
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